2020年7月28日火曜日

竹中平蔵研究(31)・・・●「規制緩和」「規制改革」「岩盤規制突破」、つまり「国家戦略特区」構想なるものは、自明の「真理」、自明の「善なるもの」なのか。

■竹中平蔵研究(31)・・・●「規制緩和」「規制改革」「岩盤規制突破」、つまり「国家戦略特区」構想なるものは、自明の「真理」、自明の「善なるもの」なのか。

●原英史の『岩盤規制 』(新潮新書)を読むと、原英史が、「規制改革」や「規制緩和」・・・を盲目的に信仰していることがわかる。おそらく、原英史は、逆に、「規制改革」や「規制緩和」・・・を批判したり、反対するものを、無知蒙昧な唾棄すべき反動勢力とみなし、議論の余地なしとみて、排除、撲殺すべきものと思っているのではないかと思う。まさに思考停止である。毎日新聞批判や森ゆうこ批判にも、それは顕著である。

●ところで、私は、たまたま手に入れた『国家戦略特区の正体 』(集英社新書)という本を読んでみた。著者は、立教大学教授の「郭春洋」という経済学者だ。この本には、原英史とは、全く逆のことが書かれている。「国家戦略特区」(SEZ、
)について、こう書かれている。

●《 しかし最初に述べた通り、SEZ(国家戦略特区)とは本来、主に途上国が工業化を実現していく際に用いる手段である。(中略)そのほとんどは途上国に設置されているものだ。》(『 国家戦略特区の正体 』)

●つまり、この『国家戦略特区の正体 』を読む限り、「国家戦略特区」とは、日本を成長路線へと導く戦略ではなく、発展途上国へと引きずり下ろす戦略だということだ。私は、この考え方を全面的に信用するわけではないが、一理ある議論だと思う。

●現に、今、日本は、先進国から途上国レベルへと急速に、没落しつつあるのが実情だ。「国家戦略特区」が、全ての原因ではないだろうが、小泉純一郎政権時代の「構造改革」以来、安倍政権の「国家戦略特区」まで、ひたすら「規制緩和」や「岩盤規制突破」を目指して、突き進んで来た結果が、まさしく、「日本の没落」にほかならない。小泉純一郎の「構造改革なくして成長なし」という路線も、安倍政権の成長戦略としての「国家戦略特区」構想も、夢物語に過ぎないことは、結果が示している。

●しかし、小泉改革以来、安倍政権に至るまで、その政策を、影で主導してきたと思われる竹中平蔵や原英史等には、その自覚も、日本没落の現状認識もない。逆に 、「構造改革や規制緩和が足りないからだ」「もっと構造改革と規制緩和・岩盤規制打破を・・・」と叫んでいる。
そして、反対勢力には、情報戦と裁判闘争をしかけて、言論を封殺。議論の余地もないらしい。

●私は、どちらの肩を持つつもりもないが、情報戦や裁判闘争を仕掛けての脅迫による言論封殺・・・には、反対である。もっと論争を・・・。衆人監視の元での「侃侃諤諤」の論争をお願いしたい。
(続く)