TSMCの正体・・・iTビジネス・アナリスト=深田萌絵への手紙(3)
私は、深田萌絵の「Youtube動画」を見るまで、「TSMC」の存在をまったく知らなかった。「TSMC」とは、台湾の「新竹」というところにある半導体メーカーであるらしい。私も、新竹には、「焼きそば」の名所ということで、山下聖美教授(日大芸術学部)の案内で、それを食べに行ったことがある。ついでに、市内観光もしたのだが、よく覚えていない。今は、台湾のシリコンバレーと言われているらしいが・・・。しかも、この台湾の新竹にある半導体メーカー(TSMC)の動向が、世界的な半導体不足ということで 、現在の世界経済の、あるいは、日本経済の「台風の眼」になっているらしい。つまり自動車も 、この半導体なしには 製品として完成出来ない。ということで、半導体が、世界経済の動向を左右することになっているということだ。しかし、日本は、かつて、その半導体の先進国であったにもかかわらず、半導体産業を衰退産業とみなして、外資(台湾など)に売り渡し続けている、という。それが現在の日本経済の衰退の根本原因になっているのだが・・・。日本の政治指導者たちも、マスコミのジャーナリストたちも、あるいは日本のエセ保守文化人どもも、その問題の深刻さを、まったく理解していないらしい。彼等は、つまり右派も左派も、「反中」「反韓」「反北」に・・・、あるいは、その逆に・・・夢中になるあまり、いまだに、ステレオタイプの「親日国家・台湾」の手前味噌的な独断的夢想の中で安眠を貪っているようだ。というわけで、今回は、「TSMC 」(台湾半導体メーカー)の正体について書いてみよう。まず確認しておきたい。深田萌絵も言うように、「台湾は必ずしも親日国家ではない」。日本の自称・保守派(エセ保守)のように、単純素朴に、台湾を、「親日国家」と認定し、「我等の仲間・台湾祭り」に狂奔しているようでは、話にならない。台湾は、半分は中国人(外省人)の国である。台湾の背後には中国がいる。私は、台湾に行った時のこと、「国立台湾故宮博物館」での光景を思い出す。台湾と中国(大陸)は敵対関係にあると思っていたが、現実には、大量の中国人が 、博物館に押し寄せていた。故郷を訪ねる中国人の大群、という感じだった。「 国立台湾故宮博物館 」は、蒋介石の国民党軍が、共産党との戦いで負けて、台湾へ敗走する時、「故宮博物館」から、中国の古美術品や陶器類を持ち込んだものだ。したがって、「台湾博物館」は、中国人の精神的・文化的原郷になっているのだ。要するに、台湾は、必ずしも、中国と対立=敵対しているわけではない。半分は同胞なのだ。つまり、まず、台湾は、中国と対立、戦争状態だという「台湾幻想論」を捨てるべきである。ところで 、本論に戻る。台湾の半導体メーカーTSMCについて。日本政府(経産省)は、世界的な半導体不足に関連して、TSMCへの日本誘致と資金援助を提案しているらしい。しかし、TSMCは態度を鮮明にせず、日本政府が振り回されている状態らしい。今や、世界の半導体市場をリードしているのはTSMC(台湾)とサムソン(韓国)らしく、日本の出幕はほとんどないらしい。そこで、日本政府は、資金提供をしてでも、台湾の半導体メーカー(TSMC)に頭を下げて誘致している図式だとか。しかも、TSMCは、すでに中国大陸に、大きな半導体工場を建設し、フル稼働状態で、設備も増強中だ。日本だけが、過去の栄光にしがみつきつつ、「一人負け」状態なのだ。そのうち 、トヨタなど日本の自動車メーカーも、外資の手に落ちるのではないか。こういう状態に、深刻な危機感を持って、発言しているのは深田萌絵だけだ。しかし、残念ながら、深田萌絵を取り巻く「エセ保守」や「ネットウヨ」連中を見ていると、悲しくなるというよりも、絶望と恐怖を感じる。もちろん、左翼リベラル派が、頼りになると言っているわけではない。左翼リベラル派は、もっとダメである。いずれにしろ、深田萌絵女史の発言に耳を傾けるべきである。