2025年4月1日火曜日

大江健三郎と藤岡信勝。(4)

●大江健三郎と藤岡信勝。(4) 『沖縄集団自決論争』とは、大江健三郎の『沖縄ノート』を、現地取材の上で、徹底批判し、論破したと称する曽野綾子女史の『ある神話の背景』に始まる。曽野綾子は、同世代のライバル作家であり、川端康成に続いてノーベル文学賞まで受賞した大江健三郎に、かなり強い対抗心を持っていたらしく、『月刊WILL』などを主な舞台に、保守・右翼陣営の言論人を巻き込んで、荒唐無稽な《大江健三郎批判》を展開し 、裁判闘争にまで持ち込んだ上で、大江健三郎という日本近代文学史上、稀有な存在である文学的権威を打ち砕こうとしたが、見事に返り討ちを浴びて、自滅・自爆したのだった。私は、佐高信氏と対談集(以下引用)を出版して、この『沖縄集団自決論争』 に、それなりの決着をつけたつもりだった。Facebookによると、あの論争と裁判から、もう、11経過したらしい。その間に、数年前に大江健三郎が亡くなり 、そして今年二月には、曽野綾子が亡くなったという。そして付け加えるならば 、最近、一部で話題沸騰中の『日本保守党論争』に、『沖縄集団自決論争』でも裏で《大江健三郎批判》を策動した藤岡信勝が登場してきたこともあって 、改めて、この問題を思い出したというわけだ。